INTRODUCTION
北村匠海×林裕太×綾野剛。異なる世代のトップランナーが一堂に会し、魂の競演を繰り広げる世紀の一作が、ここに誕生した。社会問題となっている《闇ビジネス》から抜け出そうとする男たちを描いた映画『愚か者の身分』だ。
物語は、“一度入ると抜けられない”闇ビジネスの世界を舞台に、運命に翻弄されながらも生き抜こうともがき続ける若者3人の3日間の逃走劇を描く。とある犯罪組織の手先として戸籍売買を行うタクヤ(北村匠海)と弟分のマモル(林裕太)、タクヤをこの道に誘った兄貴分的存在であり、運び屋の梶谷(綾野剛)。彼らの拠点である新宿・歌舞伎町から大金が消えた事件をきっかけに、息もつかせぬギリギリの逃避行を3つの視点を巧みに交錯させてサスペンスフルに描写する。さらに、登場人物それぞれの揺れ動く心情に丁寧に寄り添い、互いを想う気持ちの深さに心揺さぶられる展開が待ち受ける。
第二回大藪春彦新人賞を受賞した西尾潤の同名小説を、Netflixシリーズ「今際の国のアリス」などを手掛けるプロデューサー集団THE SEVENが初の劇場作品として映画化。監督は、岩井俊二監督の助監督を長らく務め、人間ドラマを巧みに描くことに定評のある永田琴。そして、『ある男』(22)で第46回日本アカデミー賞最優秀脚本賞に輝いた名脚本家・向井康介が加わり、トリッキーで予測不能な逃亡サスペンスへと仕上がった。
「裏社会に身を落とした若者たちが、本当に信じたものとはー」
今、観る者の心に突き刺さる、ヒューマンドラマの幕が開く。
COMMENT
タクヤ 役北村匠海
失うものなど何も無くなった男たちが、それでも生きようとする映画です。
林裕太さん、北村匠海、綾野剛さん、3つの世代の想いのリレーのように感じられた撮影期間。
剛さんから僕へ、僕から裕太へ。その先に「裕太」は、「マモル」は何を思うのか。
映画館で是非感じて欲しいです。
梶谷剣士役綾野剛
彼らに名前はあるのだろうか。彼らは自身を生きているのだろうか。
いつから彼らは自分で自分を抱きしめなければいけなくなったのか。
北村匠海が織りなす繊細な煌めきと、林裕太が生み出す瑞々しい輝き。そんな彼らの呼吸を抱きしめ続けた永田琴監督。
光を奪われた者と、光を諦めた者。そして光を切り開く者の物語。
ぜひ劇場でその光に触れて頂けたら幸いです。
マモル 役林裕太
マモル役の林裕太です。
いっぱい食べろと言われると、生きろ!と言われている気がします。
大丈夫と言葉をかけられると、本当に大丈夫な気持ちになります。
この作品ができるまでに色々な人がマモルに居場所をくれました。
人にしてもらったことを誰かにしてあげたい、そう思うことが生きようとする力に繋がるのだと思います。
それを教えてくれた映画です。沢山の人に届いて欲しいです。
槙原希沙良役山下美月
撮影に参加させていただいたのは数日ですが、想像以上に濃く熱く忘れられない夏の記憶が刻まれました。
毒々しくも清々しい、真っ直ぐでひねくれている、3人の人間から"自分は何者か"考えさせられる作品です。
程遠い世界を見ているようで、きっと誰しもが近しい境目を生きていると思います。
この座組に参加できたことが、本当に嬉しいです。公開を私も楽しみにしております!
江川春翔/谷口ゆうと役矢本悠馬
俳優にとって役を纏っていない実生活の過ごし方というのは仕事以上に仕事だったりして、
今作の役どころはそれが追い風となって背中を押してくれたなと思っております。
というのも僕には家庭があり、ここが何より幸せで絶対になくなってほしくないもの。
それを失った男を演じる上で1番大切なものを僕はすでに持っていました。
あとはそれを奪われることを想像するという苦行でした。
ポップな矢本悠馬はいません。見たことないヤツやってます!
由衣夏役木南晴夏
脚本を読んだ時と、本編を見た時とこれほどイメージが変わった映画は初めてでした。
あまりにも美しく、3人の男性が紡ぐ絆の物語が青春そのもので、見終わった後とても爽やかな気持ちになりました。
この作品に参加できたことを、心から嬉しく思います。そして多くの人にこの作品が届くことを願っています。
監督永田琴
この数年、若者の深刻な貧困や犯罪を私自身も目の当たりにし、何か表現できないかと考えていたところ、
西尾潤さんの原作と出会い、これだ!と企画しました。
私にとって初となる男たちの物語を素晴らしい役者たちが彩ってくれています。
経験に裏打ちされた深みと純粋さが同居し、画面に映った瞬間ハッとさせられる存在感を放つ北村匠海。
芝居をどこまでも追求し物語に深みを与えてくれた綾野剛。
等身大の繊細な表情で私の心を鷲掴みにしてくれた林裕太。
日本の社会問題を露わにしつつエンターテイメントに仕上げた渾身の一作です。
原作者西尾潤
『人は生まれる身分を選べない。では、それが売買できるとしたら——?』
本作は現代社会に潜む歪みと、そこに翻弄される人間たちの姿を描いた物語で、自身のデビュー作です。
ひっそりと一人の部屋で生まれたキャラクターたちが、こうして永田監督のもとにたくさんの人と出会い、
映像化されたことは、今でも夢の中の出来事のよう。
善と悪、欲望と絶望の狭間で揺れる青年たちの選択を、ぜひ劇場で見届けてください。
スクリーンに現れたタクヤ、マモル、梶谷は、原作者の中で動いていた時よりも、遥かに魅力的な愚か者でした!
プロデューサー森井輝
親も、社会も、誰からも手を差し伸べられず、それでも生きてきたことで現代社会の闇に飲まれ、翻弄されてしまう青年たち。
一体誰が悪なのか・・どこで間違えたのか・・・
この者たちの人生は、私たちの知りえないところで起きて消えている。
しかし、それはすぐ側にあり、自分や家族にも起きうることです。
この殺伐とした世界で、ほんの小さな、当たり前の幸せだけを望むタクヤ、マモル、梶谷。
どうか観客の皆さんの温かな目線で包み込んであげて欲しいです。
素晴らしい原作を、素晴らしいキャスト、監督、スタッフで映画化に臨めたことに大感謝。
主題歌「人生讃歌」tukⅰ.
ままならない現実に直面する登場人物たちに寄せて「人生讃歌」という曲を提供させていただきました。
結果的に、私がたいせつな人たちに伝えたいことがとてもストレートに歌えた曲になりました。
映画と楽曲を是非お楽しみに。